長崎大学大学海洋未来イノベーション機構

環東シナ海環境資源研究センター

Institute for East China Sea Research

長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科附属環東シナ海環境資源研究センター
〒851-2213
長崎市多以良町1551-7
TEL 095-850-7311
FAX 095-840-1881

長崎大学海洋環境科学情報発信シリーズ
「海と地球と人と」

第5回東京セミナー

「越境汚染物質が大気環境や生態系に与える影響」

主催:長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科


日時:2013年12月2日(月)17:30〜19:45
会場:長崎大学東京事務所3F セミナールーム
東京都千代田区九段北1-9-17 寺島文庫ビル
03-6268-9116


わが国を取り巻く自然環境は、近年急速に変化しています。その原因の一つに、越境汚染物質があげられます。それらの物質は、大気、陸域、水域に生息する人間を含めた多くの生物に影響を与えます。長崎大学では、東シナ海の海洋生物資源を持続的に利用するための研究に取り組んでいますが、その一貫として、大陸由来の汚染物質が越境・侵入する経路である大気と、汚染物質の降下により影響を受ける海洋生態系に注目した研究を進めています。その成果を広く一般の方々に伝え、東シナ海の現状と重要性、またその魅力を理解していただくために情報発信を企画しています。

今回は、「越境汚染物質が大気環境や生態系に与える影響」のタイトルで、最近大きな話題になっている大陸からの汚染物質が、大気や海の生態系にどのような影響を与えるのかについて最近の研究状況を紹介いたします。今回のセミナーでは、本学の河本和明教授と梅澤有准教授に話題を提供していただきます。

参加者は30名程度とし、講師による話題提供のあと、参加者された皆様との意見交換の時間を30分程用意いたします。また、ワンドリンクと簡単な軽食を提供し、それを召し上がりながら話を聞いていただく「サイエンスカフェ」スタイルでのセミナーを予定しております。

募集人数:30名

募集期間:2013年11月29日まで。

但し定員になり次第募集を終了いたします。

募集方法:インターネットによる申し込み。セミナーの詳細につきましては、随時HPで情報を提供するとともに、参加を申し込まれた方にはメールで連絡させていただきます。
申し込みぺージ
http://mg.jimu.nagasaki-u.ac.jp/smart/eq.asp?U=1008008004001064177


長崎大学HPの関連URL
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/event/event331.html

 

参加費:1500円(ワンドリンク+サンドイッチ付き)

プログラム:

17:00〜 開場

17:30~17:35 開会挨拶

17:35〜18:20 話題提供1 

「越境大気汚染が及ぼす雲や気候への影響」
河本 和明 長崎大学大学院 水産•環境科学総合研究科 教授

18:20〜18:30 休憩

18:30〜19:15 話題提供2 

「東シナ海の物質循環の変化と海洋生態系への影響」
梅澤 有 長崎大学大学院 水産•環境科学総合研究科 准教授

19:15〜19:45 質疑応答、意見交換

19:45〜 閉会挨拶


講師プロフィールおよび話題内容:

河本 和明 氏

長崎大学大学院 水産•環境科学総合研究科 教授
 
学歴: 
1993年3月 立教大学理学部卒業
1999年3月 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了 
       博士(理学)

職歴: 
1999年 5月 NASA ラングレー研究センター 博士研究員
2002年 3月 総合地球環境学研究所 研究部 助手
2007年 4月 長崎大学 環境科学部 准教授
2013年10月 長崎大学大学院 水産・環境科学総合研究科 
       教授

これまでの研究:人間活動による雲や気候への影響を探るため、人工衛星に搭載された受動型光学センサのデータを用いた雲物理量の推定、また受動型光学センサと能動型センサのデータを組み合わせ、雲粒子の成長や降水過程の鉛直分布の研究に取り組んでいる。さらに放射伝達理論を用いて、地球のエネルギー収支に及ぼす雲やエアロゾルの寄与に関する定量解析を行っている。

 

話題内容:
 東アジア、特に偏西風の風下に位置する我が国付近の大気は、エアロゾルと呼ばれる大気浮遊粒子が複雑に混在していることが知られている。エアロゾルには、砂漠から発生する自然起源の黄砂や、人間起源の汚染粒子など様々な種類がある。今年の初頭、エアロゾルの一種であるPM2.5が大陸から西日本を中心に大量に飛来し、社会的にも大きなニュースとなったことは記憶に新しい。今また冬を間近に迎える時期を迎え、再びPM2.5という言葉を聞く機会が徐々に増えてきている。
 エアロゾルが増えると、視程障害など社会生活に影響するのみならず、喘息や呼吸器疾患などの健康被害を引き起こす可能性が指摘されていることで、多くの人が懸念している。一方、エアロゾルの大気への影響としては、太陽光を反射・吸収して地表に到達するエネルギー量を変え、気温を変化させることが挙げられる。またエアロゾルは雲粒の種としてはたらくため、その数や吸収性によって雲特性(厚さや粒径など)が変化することで雲の反射率が変わり、さらに降雨特性(パターンや頻度など)にも影響を及ぼしうる。エアロゾルによる気候影響を詳しく調べるためには、数値気象モデルを用いたシミュレーションと、地上や人工衛星からの連続的な観測を有機的に結びつける必要がある。
 本講演では、まずPM2.5をはじめとするエアロゾルの性質や東アジアでの状況について概観し、続いて上述した気候への影響について、人工衛星から得られたデータを中心に、数値気象モデルや地上観測のデータも用いて述べる。

 

梅澤 有 氏

長崎大学大学院 水産・環境科学総合研究科 准教授 

学歴:
1998年3月 東京大学理学部卒業
2004年3月 東京大学大学院理学研究科博士課程修了 博士(理学)

職歴:
2004年4月 東京大学海洋研究所 日本学術振興会特別研究員
2005年3月 ハワイ大学 植物学科 日本学術振興会特別研究員
2006年5月 総合地球環境学研究所 上級研究員
2008年2月 長崎大学水産学部 助教
2012年4月 長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科 准教授

これまでの研究内容:沖縄や太平洋のサンゴ礁海域、有明海をはじめとした沿岸海域、東シナ海や黒潮海域に代表される縁辺海において、主に安定同位体や放射性同位体等の化学成分解析によって、陸域から海域への河川・地下水流出、外洋海水、湧昇流、大気降下物などの様々な起源由来の物質負荷が海洋生態系に与える影響や、海域生態系の食物網構造について評価する研究に取り組んでいる。
http://yuumezawa.com/index.htm


話題内容:
マアジ・マサバ・頭足類・底魚類の産卵や仔稚魚の生育場として知られている東シナ海において、植物プランクトンの生産、および、それらを支える栄養塩の供給メカニズムを理解することは、東シナ海のみならず、黒潮・対馬海流で接続する日本南部や日本海における水産資源量の維持・変動予測に需要な役割を果たすと考えられている。しかしながら、近年、温暖化に伴う降水特性や黒潮流動の変化、中国国内の大規模水利事業(三峡ダム・南水北調計画)や人為負荷の変化によって、河川(長江)や大気降下物を通じて流入する栄養塩量や、その構成比が変動し、植物プランクトンの種構成や現存量、更には仔稚魚等の現存量にも影響を与えることが懸念されている。
話題提供者は、東シナ海の海水中や、九州西部に降り注ぐ雨水に含まれる栄養塩や、海水中に生息する植物プランクトンの化学成分(例:安定同位体比)の分析を行うことによって、大陸起源物質や、黒潮などの外洋起源物質の寄与が、季節や海域によって大きく変動していることを明らかにしてきた。越境汚染物質が日本沿岸の海洋生態系に与える影響は、まだ限られているが、今後も、生物・物理・化学の知見を組み合わせた学際的研究、隣接する国々が協力しあう国際的調査が求められている。
本講演では、現在の東シナ海を巡る環境の変化、それに伴う物質循環の変化について、現在、長崎大学で取り組んでいる調査の様子や、得られたデータなどをもとに、紹介する。


問い合せ先:
長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科附属環東シナ海環境資源研究センター 征矢野 清 soyano@nagasaki-u.ac.jp