長崎大学大学海洋未来イノベーション機構

環東シナ海環境資源研究センター

Institute for East China Sea Research

長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科附属環東シナ海環境資源研究センター
〒851-2213
長崎市多以良町1551-7
TEL 095-850-7311
FAX 095-840-1881

センター長挨拶

Prof. Kiyoshi Soyano

環東シナ海環境資源研究センターの目の前には、世界でも有数の海洋生物資源に恵まれた豊かな海域である「東シナ海」が広がっています。ここは我々日本人の生活を支える最も重要な海域の一つです。しかし、東シナ海は沿岸域に世界有数の人口密集域を抱え、人間活動の影響を極めて受けやすい海域であることから、近年、著しくその環境を変化させており、生物資源の減少が最も心配されている海域として注目されています。実際に、海水温の上昇に伴う生物相の変化、生息場所や産卵時期の変化などが報告されはじめているほか、栄養塩の増加や化学物質汚染などが明らかとなっています。これらの環境変動は、この海域に生息する海洋生物の次世代生産や安全性に重大な影響を与えます。そこで当センターでは、このような東シナ海の環境変動とその影響を把握し、環境の回復と保全、さらには生物資源の生産性と安全性の確保に向けた研究に取り組んでいます。

当センターでは、総合的に海洋生物と海洋環境の問題を捉えるため、生態学・行動学・生理学・海洋学・環境学など研究者が協力し、学際的に海洋環境と生物の問題を解明するための研究活動を行っています。さらに、海洋問題を考える上で、陸域や大気からの影響を無視するわけにはいきません。そこで、本学大学院水産・環境科学総合研究科の教員と連携した研究を進めています。現在、文部科学省特別経費による研究プロジェクト「安全な海洋生物資源の利用に向けた学際的フィールド研究の国際展開 —東シナ海をモデルとした生態系の健全性の診断と監視—」を柱に据えて、東シナ海研究に取り組んでいます。

東シナ海は、沿岸国である中国、韓国、台湾にとっても重要な海洋資源を確保するための海域です。この海域の生物資源の安全性を確保し、これを持続的に利用するためには、沿岸国が互いに協力し合い、環境の改善と資源管理を進めなければなりません。そのためには、この海域の水産・海洋研究を、沿岸国である韓国・中国・台湾と共同で進める必要があります。また、これらの国が連携して、海洋問題・環境問題に対して共通した認識と視点を持った若手の研究者を育成することも大切です。このような理念のもと、日中韓台において水産海洋研究を精力的に行っている大学(韓国済州大学校、中国上海海洋大学、台湾国立台湾海洋大学、および琉球大学)と連携研究教育組織「東シナ海海洋学水産科学教育研究コンソーシアム(通称5大学フォーラム)」を立ち上げ、共同での教育・研究活動の推進、新たな共同研究や国際シンポジウムの企画などを行っています。

センターの教員は、5年一貫制博士課程「海洋フィールド生命科学専攻」のスタッフでもあります。この専攻は、海洋やそれに注ぐ河川河口域、またそれらと関連した陸域へ自ら足を運び調査研究を行うとともに、そこで得られた資料やデータを高度に解析することのできるフィールド科学研究者を育てるための教育プログラムです。この専攻において、海洋フィールド研究者育成のための教育にも携わっています。

我々はこのように人間が持続的に海洋資源を利用することができるための基礎から応用に至るまでの研究と、次世代の海洋研究者育成のための教育に日々努力しております。多くの方に、当センターの研究教育活動をご理解いただき、また、ご支援いただけることを願っております。

(征矢野 清)